外国人の住民登録、日本人が海外で払った医療費の還付方法など。
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外国人でも住民登録するようになり、マイナンバーも配布されます。健康保険に入れるなどのメリットもありますが、住民税を課税されたり、保険料の納付もあり、大変な面もあります。あわせて、日本人が海外で医療費を支払う際の留意点などをまとめました。
目次
外国人も日本人と同様に住民基本台帳に登録されるようになりました。
こうした状況においては、外国人も日本人と同様に、地域の住民として、行政の基礎的なサービスを受けられるのは、当然のことです。
そこで、外国人についても日本人と同様に、住民基本台帳法の適用が受けられるようになりました。
外国人にかかわる住民基本台帳法の制度を簡単に説明すると次のようになります。
3ヶ月以上、日本に滞在する予定の外国人は、日本人と同じように住民登録を行うこととなります。
日本人と同様に住民登録を行うことで、次の内容について日本人と同様のサービスを受けることが可能となります。
マイナンバーの通知
住民基本台帳ができるということで、もちろんマイナンバーも通知されます。
マイナンバーは税や社会保険の手続において、とても重要なものであり、源泉徴収などの手続においても必要であることから、、お勤め先の会社にも提示しなければなりません。
その他、年金事務所や福祉関連の手続においては、市町村に提示する必要があります。
マイナンバーが配布されたら、会社や市町村の指示に従って、適切に対応しましょう。
外国人の国民健康保険
外国人(3ヶ月以上、日本に滞在する予定の人に限ります。)にも住民票が作成され、マイナンバーも作成され、そして、国民健康保険に加入しなければなりません。
国民健康保険料は前年の収入によって決まります。厚生年金などと比較して少し割高なイメージがありますが、3ヶ月間しか滞在しないことがわかっていても、出産の際の出産一時金や、高額療養費の制度が適用されるため、医療費の上限ができることとなります。
このため、日本に住む外国人の方としては、安心して日本で生活できることになると思います。
逆に、数ヶ月の滞在中に支払わなければならない国民健康保険料に対して受けられる給付などがかなり大きくなり、外国人であっても3割負担で高度な医療を受けられるため、この制度が悪用されてしまうことを懸念する声もあるのです。
外国人の住民税
住民税は原則として、毎年の賦課期日(各年の1月1日)に住民登録がある人が課税されます。
今までは外国人には住民登録がありませんでしたが、外国人登録という制度があって、その中で住民税の課税が行われていました。
ただし、外国人登録の制度は短い期間の滞在者などを把握できない部分もあり、本来、住民税を払うべき人が課税されていないといったケースもあったようです。
また、これまでは外国人の住民税については特別な規制があり、「1年以上、日本に居住している人(居住すると想定される人)」が課税されるといった、グレーな取扱いがありました。
現在では、外国人にも住民票が作成されるようになったため、外国人も日本人と同じように「賦課期日(各年の1月1日)に住民登録がある人」が住民税を課税されることになります。
これらをもう少し簡単にいうと、次のようになります。
- 今まで : 1年間以上、日本に居住しなければ課税されない。(1月1日に日本に居住していても、1年間のルールがありました。)
- 今後 : 1月1日に住民登録があれば、数ヶ月で帰国する予定でも住民税は課税されます。
これを見ると、今までは1年間以上、日本に住んでいなければ住民税はかからなかったのに、今後は1月1日をまたいで3ヶ月以上日本に居住すれば住民税はかかるのです。
しかし、上述したように住民登録できることで、国民健康保険に加入できたり、いろいろな行政サービスを受けられることになりますので、全体で考えれば外国人の方にとって嬉しいことではないでしょうか。
日本人が出国する際の国民健康保険、海外での医療費の還付について
健康保険にかんしては、逆に私たち日本人が海外へ行く際にはどのようにしたらいいのでしょうか。
海外へ行く時、その期間にかかわらず、国民健康保険を被保険者のまま(住民登録を動かさない。)でいると、海外でかかった医療費を帰国後に請求することができるのです。
海外で病院にかかったりすると、日本のようにしっかりと保険制度がある国ばかりでないので、場合によっては医療費がかなり高額になることがあります。
海外では一時的に医療費を支払うことになりますが、日本に帰ってきてからその医療費を市町村の窓口で請求すれば戻ってくるのです。この場合、医療費の自己負担は基本的に3割の負担となります。
なお、原則として、海外で支払った医療費が日本で支給される場合は、海外で受けた医療行為が日本国内で認められている保険診療の範囲内の医療行為となります。また、医療行為が目的で渡航した場合は、保険給付の対象外となります。
医療費については、ケースバイケースで適用されないこともありますので、ある程度の期間を海外で過ごす場合には、事前に市町村の窓口で相談してください。
参考:1月1日に住民票がないと住民税は課税されないのか?
外国人も日本人と同様に扱われるため、外国人であっても、1月1日の住民登録の有無で住民税が課税されることになります。
つまり、住民税は1月1日に住民登録がなければ、払わなくていい。ということではないでしょうか。この理屈でいけば、日本人でもうまく住民税を逃れることができるのではないでしょうか。
住民税は1月1日の住所で1年分の税金が決まってしまいます。それなら、年末に海外へ出かける人など、住民登録を抜いて出かけてしまえばいいのではないでしょうか。
実は、このことについては、法律以外の部分で取扱いが決まっているのです。
海外出国者の住所の取扱いは、住民基本台帳法に規定はなく「住民基本台帳法の質疑応答について」(昭和46年3月31日自治振第128号)の中で、国が示しています。
その中で「海外出張者の住所は、出張の期間が1年以上にわたる場合を除き、原則として家族の居住地にある。」と記載されているのです。
つまり、住民税の賦課期日である1月1日に住民票がなくても、1年以内に帰国する場合で、原則として日本に家族がいる場合などは、家族のいる場所がその人の住所になります。
また、単なる旅行の場合についても、海外に居住していることにはならないという取扱いが国から示されています。
住所の認定に関しては、「海外赴任中の生活の本拠の認定については、出国前の生活状況、出国の目的、期間などを総合的に考慮し、客観的に生活の本拠たる実態を具備しているか否かにより判断するのが相当」という判例もあり、単に住民票がないというだけでは、住民税が課税されないことにはならないようです。
ワーキングホリデーはどうなのか?
住民票を抜いて海外に行く場合であっても、ワーキングホリデーは「休暇」と見なされて海外転出扱いにはならないようです。
もともとワークングホリデーで海外就労を認めるというのは、若者が「休暇」の間の滞在費を得るためのもので、ビザも就労用や留学用とは異なり、ワーキングホリデー用の特別なものを使います。
まとめ
外国人の人も、住民登録できるようになり、マイナンバー制度の適用もうけます。日本で生活する上で、日本人と同様に行政サービスを受けられますので、とてもいいことだと思います。
もちろん、住民税や健康保険料などもしっかりと納める必要があります。
逆に、私たちが海外へいった場合は、ある程度の期間であれば、住民登録はそのままにして、健康保険を日本の制度で受けられるようにしておくと安心です。
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