2022年の春と秋の彼岸はいつ?由来や日付、お布施の相場などをご紹介します。
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2022年のお彼岸、春分の日や秋分の日はいつでしょうか。また、法事にはお坊さんに対してお布施や車代はいくら払えばいいのでしょうか。お彼岸に関する疑問にお答えします!
お彼岸とは
「彼岸」の語源は、もともと仏教の教えで、サンスクリット語の「パーラミラー」(波羅蜜多)を漢字にした「到彼岸」(とうひがん)が略されて彼岸となったものです。
彼岸の意味は、「向こう岸」で、三途の川をはさんだ向こう側で仏様が住む世界のことを指します。
ちなみに、人間が住むこちら側の世界のことを此岸(しがん)といいます。
此岸にいる者が「布施(ふせ)」「持戒(じかい)」「忍辱(にんにく)」「精進(しょうじん)」「禅定(ぜんじょう)」「智慧(ちえ)」の6つの修業(六波羅蜜)をすることで、彼岸に行くことができるとされています。それを到彼岸というのです。
「彼岸」そのものは仏教の教えですが、お彼岸のお墓参りは、他の仏教国にはなく、日本で生まれた文化で、正式名称は「彼岸会(ひがんえ)」と言います。
お彼岸の由来
彼岸会は日本独特の行事として続いています。それは、このお彼岸法要の起源がたった一人の魂を鎮めるために始まったからなのです。
「日本後紀」という書物の延暦二十五年(806年)の2月の記録に、「毎年春分と秋分を中心とした前後7日間『金剛般若波羅蜜多経』を崇道(すどう)天皇のために転読させた」とあり、これがお彼岸法要の記録としては日本で最古のものとなります。
平安時代から始まったお彼岸
崇道天皇とは、桓武天皇の弟の早良(さわら)親王のことです。
周りから次期皇太子に名前があがっていたのですが、桓武天皇は息子の安殿(あて)親王に継がせたかったのです。
そんなとき、桓武天皇の右腕のような部下が暗殺されてしまい、その犯人に仕立てられたのが早良親王。
寺に幽閉された早良親王は無実を主張するべく断食するのですが、桓武天皇は息子を皇太子にするために、流刑にします。
早良親王は、淡路島に流される途中で亡くなってしまいました。
そのあと、桓武天皇の回りでは次々と人が亡くなります。これは早良親王の祟りに違いないといわれた桓武天皇は、淡路島にある早良親王のお墓のまわりに堀を作って、怨霊が外に出ないようにします。
ところが、都には飢饉や天然痘が流行って収拾がつかなくなってしまいます。
ついに桓武天皇は長岡京を捨てて、今度は、風水・占い・迷信などあらゆる物を駆使して、完璧に怨霊を防げる土地に都を遷すのです。
それが平安京です。それでも安心できない桓武天皇は、早良親王の鎮魂を願って、一応、天皇になったということにして、「崇道天皇」という追号を送り、さらに彼の魂を鎮めるために春と秋それぞれ季節の節目の七日間ぶっ通して、全国の僧侶に読経させたのです。
やがてそれが、庶民にも広まり春と秋には死者を供養し善行を行う期間として、お彼岸が定着したといわれます。
お彼岸の時期は?
お彼岸は、春彼岸と秋彼岸があって、それぞれ春分の日と秋分の日の前後3日、計7日間をいいます。
初日を「彼岸の入り」、終わりの日を「彼岸明け」といい、春分の日と秋分の日を「中日」といいます。
ではなぜ、この期間に決めたのでしょうか。それは、阿弥陀如来がいらっしゃる彼岸は西にあり、此岸は反対側の東にあると考えられていたからです。
1年を通して、太陽が真東から昇って真西に沈む秋分と春分を彼岸と此岸がもっとも近くなると考え、この時期に先祖供養をするようになったのです。
余談ですが、お彼岸の中日である
- 春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」
- 秋分の日は「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ」
という意味を持つことをご存知でしょうか。
じつは国民祝日に関する法律で、そのように決められています。
毎年同じではない「春分の日」と「秋分の日」
これは先祖崇拝や豊作に感謝してきた日本文化が影響しています。それから、ほとんどの国民の祝日は定まった日ですが、春分の日と秋分の日は毎年同じ日ではありません。
国立天文台が作成する「暦象年表(れきしょうねんぴょう)」に基いて閣議によって決められ、毎年2月1日付で翌年の該当日が発表されています。
2022年春のお彼岸
- 時期:3月18日(金)~24日(木)
- 彼岸の入り:3月18日(金)
- 中日(春分の日):3月21日(月)
- 彼岸明け:3月24日(木)
2022年秋のお彼岸
- 時期:9月20日(火)~26日(月)
- 彼岸の入り:9月20日(火)
- 中日(秋分の日):9月23日(金)
- 彼岸明け:9月26日(月)
もっと先まで決まっている
法律上の春分の日、秋分の日は前年の2月1日に決まるのですが、天文学的にはずっと先までわかっています。
ちなみに2025年までの春分の日と秋分の日は次のようになります。(国立天文台より)
春分の日 | 秋分の日 | |
---|---|---|
2022年 | 3月21日(月) | 9月23日(金) |
2023年 | 3月21日(火) | 9月23日(土) |
2024年 | 3月20日(水) | 9月22日(日) |
2025年 | 3月20日(金) | 9月23日(火) |
2026年 | 3月20日(金) | 9月23日(水) |
お墓参りのルール
お墓参りには、霊園や墓地に規則がなければ、お参りする時間は決まっていませんが、できれば午前中に行きましょう。何ごとよりも優先して出かけるという気持ちが大切です。
服装は、法要などでないなら、平服でかまいません。掃除をしなければいけませんので、むしろ普段着をおすすめします。
持参するもの
お線香、ロウソク、ライター、お花、お供え物、持っていればお念珠などです。
お水は、墓地によっては水場がないところもありますし、水場があっても手桶やひしゃくが無い場合もあるので、とりあえずペットボトルに水を入れて持って行くと安心です。
それと、掃除道具は墓地の状況によって揃えてください。ほうきやちりとり、タオルやたわし、バケツ、草刈りの道具なども必要かもしれません。
掃除
お墓に着いたら、まずお掃除をします。
- お墓に向かって一礼してから始めます。
- まず枯れたお花や線香の燃えカスなどを取り、花筒や水入れなどをきれいにします。
- 次に墓石を、きれいなタオルで清めていきます。
- 洗剤などは使ってはいけません。必ず水で洗います。
- 上から下の方に正面から後ろの方に、丁寧に拭いていきます。
- 周りに雑草が生えていたら、それも抜き取ります。
お参りの方法
掃除が終わったら、お水、お花、故人が生前好きだったものを半紙などを敷いた上に乗せてお供えします。
お酒が好きだった故人の墓石に、お供えのお酒をかけるのは良くないようです。ベトベトしますし、墓石にシミができるそうです。
お水もお盆はいいが彼岸はダメだとか、地域によってそれぞれなので、墓石にかけていいかどうか地元の年長者に尋ねましょう。
それから、ロウソクとお線香を点けます。
ロウソクとお線香の火を消すときは、手のひらをうちわのようにフワフワさせて消します。
けっして息を吹きかけて消してはいけません。仏様にお供えするものに息がかかるのはとても失礼なことなのです。注意しましょう。
準備が整ったら、心を込めて合掌礼拝(がっしょうらいはい)します。故人の宗派のお経をご存知なら唱えてあげるのもいいでしょう。
般若心経はどの宗派に唱えても良いとされていますので、覚えておくと便利ですよ。
お念珠は、お葬式や法要のときは必要ですが、たとえばお若い方で、自分用のお念珠がない方は、あわてて買わなくても大丈夫です。なくてもかまいません。ご先祖様への感謝の気持ちがあればよいのです。
お供え物は、そのままにしておくと、カラスなどが汚すのでお参りが終わったら、持ち帰るようにします。掃除で出たゴミなども持ち帰るのがマナーです。
お彼岸の料理
お盆は亡くなった方のためというのに対し、お彼岸は自分の修行のためにあると思って、お料理しましょう。普段作らない精進料理に挑戦して、仏前にお供えし、そして家族でそれを頂くという精進料理の修行を行うには、最適な期間だといえます。
春彼岸には、ワカメ、タケノコ、新じゃがいも、菜の花、ワラビ、ゼンマイ、ゴボウ、ニンジンなど春の山菜や野菜、油揚げ、豆腐、こんにゃくなどを使ってみましょう。
秋彼岸には、キノコ、里芋、カボチャ、栗、インゲン、じゃがいも、大豆、さつまいもなどの秋野菜や油揚げ、豆腐、湯葉、こんにゃくなどを使ってみましょう。
精進料理は、ご飯と汁物は必ずつけて、おかずが一品の場合は「一汁一菜」といいます。
たとえばお彼岸の間に、毎日一汁二菜のお膳をお供えし、お彼岸の中日だけは一汁三菜にすれば、とても丁寧なお供えになります。無理なく作れる献立でいいのです。
毎日では仕事の都合などで難しいという場合は、お彼岸のうちの一日だけでいいので、一品であっても手作りの精進料理を作って、お仏壇にお供えすることが大切です。料理サイトなどもありますから、簡単な料理を選んで作ってみませんか。
おはぎとぼたもちの違い
お彼岸の時期には、おはぎやぼたもちを作って墓前や仏壇にお供えし、家族で頂いたりします。最近は一年中、お店に売っていますが以前は、お彼岸に作るお菓子でした。
昔から赤色には魔除けの力があるといわれ、小豆を祝の席や儀式のときに使っていました。
お餅には「五穀豊穣」を、小豆には「魔除け」の意味を込めているのです。
お彼岸にお餅とあずきで「ぼたもち」や「おはぎ」を作って、墓前やお仏壇にお供えして、ご先祖さまへの感謝と家族の健康を願うのです。
春のお彼岸に作るのを「ぼたもち」と呼びます。春に咲く牡丹にぼってりした形が似ているから「ぼたんもち」から「ぼたもち」になったといわれています。
また、秋のお彼岸には「おはぎ」と呼びますが、これはその時期に咲く萩の花が小豆の粒に似ているから「おはぎもち」から「おはぎ」になったといわれています。
地域によっては、こし餡を使ったものを「ぼたもち」、粒餡やきな粉をまぶしたものを「おはぎ」と呼ぶところもあるようです。
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お坊さんを招く時のマナー
前日までにしておきたいこと
お仏壇はきれいに掃除緑茶と御茶菓子、おしぼりを用意しておきます。
お坊さんが座る座布団は、普段使っているより少しいい座布団を用意して、カバーはかけません。
お坊さんの呼び名は、住職、和尚、上人、大師、おじゅっさん、おっさんなどと、宗派や地域で違いますので、前もって調べておきましょう。
お布施の用意をします。金額は地域によって違いますので、年配者や同じ檀家の人に聞いておきます。
お布施は白い封筒やポチ袋を使う地域もありますので、これも前もって聞いておくと安心です。
遠くから来ていただくときは、同じ白い封筒に「お車代」と書いて渡します。地域によっては「御膳料」を包んだり、お酒を包んだりもします。
渡すときは、お布施と一緒にお車代や御膳料を入れてはいけません。別々に渡します。
当日すること
お坊さんが来られたら、挨拶をして仏間に通します。縁側か玄関から上がってもらい、お脱ぎになった草履を揃えておきます。
お座布団をすすめて、おしぼりとお茶、お菓子を出します。しばらく世間話などをされて袈裟などを整えられるとお経が始まりますので、お坊さんの後ろに座り手を合わせます。(宗派によっては、家人がロウソク、お線香を付けます)できれば、家族全員がそろって手を合わせてお念仏を聞けるといいですね。
そろそろお経が終わりかけたころ、再びお茶とお菓子を用意します。
宗派によっては、法話をしてくださったり、お茶を飲んでしばらく談笑してお帰りになります。
そろそろ帰られる気配がしたら、お布施やお車代などを切手盆か小さなお盆にのせてお渡しします。
わざわざ来てくださり、ありがたいお念仏をあげて頂いたことを感謝してお礼をいいましょう。門口までお見送りします。お酒など手土産を渡すときは、別れ際まで運んで渡します。
宗派や地域によって、決まっていることもありますので、わからないことは地元の人に聞きましょう。
お布施の相場、車代の相場など
お彼岸には、お寺で彼岸会(ひがんえ)と呼ばれるお彼岸法要が行われたり、施餓鬼(せがき)法要が行われることが多いです。
参加する場合は、お布施を用意します。3千円~1万円程度を包むことが多いです。
ただ、お寺との関係や地域によって相場が異なることもありますので注意してください。
初彼岸などで、個別にお寺にお彼岸法要を依頼したときは、3万~5万円を包むことが多いです。
遠方から来てもらうときは、「お車代」として別に3千~5千円包みます。
祝儀袋は金額で決める
祝儀袋は金額によって決めます。最も丁寧な包み方は、奉書紙に包む方法です。
奉書紙にお布施を包む場合は、半紙でお札を包むか、白い紙袋にお札を入れた中包みを用意します。それを奉書紙(上包み)で包みます。
上包みは、慶事の上包みの折り方と同じで、上側の折返しに下側をかぶせます。お布施そのものは不祝儀ではないため、弔事の折り方にする必要はありません。
表書きは「お布施」と書きます。水引は付けません。
奉書紙がない場合は白い封筒で
奉書紙が用意できない場合は、郵便番号欄が印刷されていない市販の白の封筒でも構いません。
また、市販の封筒にすでに「お布施」とプリントされている封筒もあります。その場合は、封筒に直接お札を入れても構いません。封筒の裏面に住所と金額を記載しておきましょう。
お車代も白い封筒に、「お車代」「お車料」などと書きます。
渡すときは、手渡しよりも小さなお盆にのせて渡すか、袱紗を使います。
まとめ
お彼岸の日付やお墓参りの方法、法事の際の作法などについて、説明してきました。
年に2回のお彼岸ですから、お墓参りや法事などの知識は日本人としてしっかりと身につけておきたいところです。
知識をつければお彼岸も積極的に行動することができるでしょう。
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