イギリスのEU離脱って何?わかりやすくまとめました。


イギリスは2016年の国民投票でEU離脱を決めました。イギリスはどうして国民投票を行うことになったのか、合意なき離脱とは何か?日本や世界へ影響などについて、できる限りわかりやすくまとめました。

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EU離脱を決める国民投票では、大方の予想を覆して離脱という結果(離脱賛成52%・反対48%)になりました。このため、日本でも円高、株価の下落など市場は大きく反応することとなりました。

イギリスのEU離脱で私たちの生活にも影響があるのでしょうか。

そもそもEUとは何か?

eu

EUとは欧州連合の略称になります。

ヨーロッパの28カ国が加盟(2019年4月現在)していて、ヨーロッパの繁栄や自由を保証し、平和と安定に貢献することなどを目指しています。

ヨーロッパの統合の構想は第二次世界対戦まで遡ります。

ヨーロッパでは多くの戦争を行ってきました。その中で特にフランスとドイツが友好関係なり、ドイツが再度戦争を起こさないようにと、ヨーロッパ諸国は画策をしてきました。

当初は資源の共同開発を行うことから始まります。これが欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)と呼ばれるもので、1952年に発足します。フランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ルクセンブルク、ベルギーで構成されていました。

その後、経済やエネルギーなどの共同体(欧州諸共同体・EC)ができてヨーロッパを統合していこうという機運が高まっていきます。

そして、1993年EUが創設され、1998年には統一通貨の「ユーロ」が導入されました。

イギリスは1973年からEUの前身であるECに加盟しています。

イギリスはなぜポンドを使用しているのか

イギリスは自国の通貨であるポンドを使用し、ユーロを使用していません。

このことについては、ユーロの価値を損ねるとも言われていますが、ユーロを導入するとお金の貸し借りの利息などの決定権がイギリスになくなることや、独自の金融政策ができなくなることもあり、一定の経済力のあるイギリスはポンドを使用することにしたのだと考えられます。

なぜ国民投票をしたのか

EU離脱を決定した当時のキャメロン首相は就任時において、2017年までに国民投票を実施すると公約していたのです。

イギリス国内にはEU離脱論が多くあり、選挙では離脱を訴える政党が支持を伸ばしていました。その中でキャメロン首相は2013年1月に国民投票の実施を約束し、選挙ではキャメロン首相率いる保守党が圧勝しました。


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なぜEUを離脱したいのか

EU離脱の争点はいくつかあるのですが、特に移民の受け入れ、ユーロ危機の対応などへの不満があります。

移民の受け入れ、移民対策

2004年にポーランドなどの東ヨーロッパ・バルト諸国がEUに加盟しました。

EUでは人の移動は基本的に自由にできますので、このことによって、ポーランドなどの国から経済状況の良いイギリスには多くの移民が入ってきたのです。

移民が多く入ってくることにより、イギリスの社会保障費など福祉制度にかかる費用が圧迫されているのです。

福祉制度にかかる費用はイギリスの税金を使うことになりますので、離脱派はEUを離脱することで移民が入ってこないようしたいのです。

さらには、低賃金で働く移民に雇用が奪われているという不満も出ています。

ユーロ危機などへの対応について

EUの統合が進んできていることから、EUの政策などで受け入れたくないものも受け入れるという状況があります。

2011年以降のギリシャ問題などによるユーロ危機の際にも、ユーロを使用していないのに負担させられたという思いがあります。

この問題に対する離脱前のキャメロン首相の対応

EU離脱が決まる前、これらのことについて、当時のキャメロン首相はEUに一定の譲歩をさせた改革案を引き出しました。

  • 移民対策については社会保障費の制限を例外的に認めること
  • ユーロ危機の対策についてはユーロ危機が発生した場合に、ユーロを使用していない国に負担させないということ

キャメロン首相はEU離脱はイギリスにとって良いことは一つもないとして、こういった譲歩、改革案をEUから引き出していたのですが、離脱派にとっては、この改革内容では不満だったということかもしれません。

EU離脱の影響

EU離脱が決定し、残留を求めていたキャメロン首相は辞任し、メイ首相へと交代、そして2019年10月には、ジョンソン首相へと交代しました。

今後の動向や離脱の影響を考えてみたいと思います。

なお、イギリスのEU離脱をブレグジット(Brexit)といいますが、これはBritain(イギリス)とExit(出ていく)を合わせた造語です。

離脱はいつ?合意なき離脱はある?これまでの流れ

EUの離脱の時期についてはEU首脳会議でイギリスから通告することとされ、2017年3月にメイ首相はEUに対して離脱を通告しました。

ここから離脱の交渉が開始、交渉期間は基本的には2年で、場合によっては延長ができます。

当初の離脱期限は2019年3月29日とされていました。

しかし、メイ首相の作成したEU離脱の協定案は、イギリス議会で否決されました。

このことから、メイ首相とEUは離脱の期限を、2019年10月31日まで延長することを決めました。

しかし、EU離脱の条件がまとまらず混乱が続くなか、その責任をとって、メイ首相は辞任し、後任はEU離脱強硬派のボリス・ジョンソン氏が新たな首相となりました。

なぜメイ首相の協定案にイギリス議会が承認しなかったのか

離脱への道筋ができず、離脱時期が延長になっているのは、メイ首相の協定案をイギリスの議会で、野党だけでなく、与党である保守党の離脱強硬派の議員などの一部が納得せず、承認しなかったからです。

協定案は、イギリス国内で問題となっていた、ヨーロッパとイギリス間の人の自由な移動やEUへの分担金の支払いをやめるなど、離脱派の主張を入れつつ、貿易協定については離脱してから2020年末までを「移行期間」として、そこで決めるとしています。

中でもバックストップが問題に…

貿易協定については、特に国境が陸続きになっているアイルランドとの間のことが問題で、離脱によって厳格な国境管理になってしまえば、以前のような紛争が再燃する危険性があるといいます。

そのため、貿易協定の内容が国境管理を明確に解決できるものでなければ、イギリスはEUの関税同盟に残り、アイルランドとの国境はこれまでどおりにするという内容が、離脱の協定案に含まれています。

これを「バックストップ」言い、事前に保険をかけておくという意味です。

貿易協定はイギリスがEU離脱のメリットとしている点ですので、これが特に議会で受け入れられていない点になっています。

結果的に議会と折り合いがつかず、メイ首相は辞任することになりました。

ボリスジョンソン首相になってから

メイ首相の後に首相となったボリスジョンソン首相は、当初2019年10月31日のEU離脱を掲げていました。

合意案の内容はバックストップの条項を削除し、2020年末までのEU離脱の移行期間終了後は、北アイルランドも含めてイギリスがEUから離脱するという方針にしました。(ただし、北アイルランドの関税手続きについては、EU基準に合わせることとしています。)

この内容は離脱協定案として、EUは承認しましたが、結局イギリス議会で承認されず、EU離脱の期限を2020年1月末として、2019年12月に下院の総選挙を実施しました。

総選挙は、ジョンソン首相が率いる与党の保守党が過半数を獲得しました。(イギリス議会は上院(貴族など)、下院(選挙)とされ、下院が上院に優越します。)

選挙前は与党・保守党は第一党であるものの単独過半数はに足りてなかったのですが、今回の選挙で定数650人のうち365議席を獲得し、単独過半数となり、歴史的な勝利を納めたのです。

この結果を受けて、イギリス下院ではEU離脱関連法案が可決し、2020年1月のEU離脱が確実になりました。

合意なき離脱はありえる?

2019年12月の選挙結果を受けて、2020年1月にEU離脱関連法案が可決したことから、合意なき離脱はなくなり、2020年末までの離脱移行期間のある、合意した離脱になると考えられます。

離脱期限 内容
2020年1月31日 合意した離脱が見込まれる

ただし、離脱後には、貿易のルールなどがなくなりますので、EUとイギリスで自由貿易協定(FTA)を締結する必要があります。

この内容をしっかりとまとめられなければ、FTAの合意せずに離脱するという自体も考えられます。つまり、合意なき離脱のような状態になるリスクはまだ残っていることになります。

合意なき離脱、または自由貿易協定がまとまらない場合の影響は?

ジョンソン首相が就任したことで、一時は経済が不安定な状態になるかと思われましたが、少しずつ落ち着きを取り戻しています。

とはいえ、合意なき離脱や自由貿易協定の状況によっては、様々なリスクがあります。

合意なき離脱や自由貿易協定がまとまらない場合の状況について、以下にまとめました。

世界全体の景気後退

eu3

様々な経済学者や投資の専門家などが試算や影響を考えていますが、概ね景気後退になっていくと考えられています。

イギリスのシンクタンクによると、イギリスの経済成長率は以下のようになると見込んでいます。

合意あり 合意なし
2019年成長率 1.9% 0.3%
2020年成長率 1.6% 0.3%

2019年以降の経済はIMFなども、世界の景気後退を予想していますので、ここに拍車をかけることになります。

国境管理、貿易関税が発生する

合意なき離脱であれば、離脱と同時に関税が発生します。

ヨーロッパ諸国との貿易にあたり5%から10%程度の関税がかかってきます。これは輸出・輸入ともに起きる問題なので、イギリスだけでなく、ヨーロッパ諸国についても同様の影響が考えられます。

また、国境を通過する際の手続きが発生しますので、大きな混乱が予想されます。

ポンド安・株安

合意なき離脱で経済事情が大きく変わり、イギリスの経済に貢献している多くの外国企業の動向が不安定になり、ポンドの信用が下がります。

すでに、EU離脱の国民投票前のと比較して、ポンド・ドルは10%以上下落しています。

合意なき離脱になれば、ここからさらに数パーセント程度の下落が予想されます。(合意ありになれば逆に数パーセントの上昇を予想する専門家もいます。)

また、企業への影響から、株価も大きくさがると考えられます。株価についてはイギリスだけでなく、世界的に影響を受けることになるでしょう。

合意なき離脱で日本への影響

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ポンド安になることから逆に円は高くなります。

円は世界的に安定通貨といわれていることもあり、こういった危機においては特に円は買われる傾向にあります。

円高になれば輸出産業には大きな打撃となりますので、輸出関連の株にも影響が出ます。

また、イギリスに進出している日本企業は1000社以上あると言われています。ヨーロッパ市場への進出の拠点と考えている企業が多く、EUがあってこそのイギリスへの進出ともいえるのです。

イギリスは英語圏でもあり、経済状況もいいためヨーロッパへの足がかりにするのであって、大きく投資している企業もあります。

イギリスの大きく投資している企業は、今後のヨーロッパ市場への方針を考え直す必要が出てくるかもしれません。

こうしたことが影響して、日本のGDPを引き下げる可能性があります。

まとめ

イギリスのEU離脱・ブレグジットについて、簡単にまとめてみました。

2019年12月時点では、イギリス議会の下院選挙によって、2020年に合意した離脱が見込まれています。

とはいえ、今後の離脱に向けた議会の動向や、離脱語の貿易交渉など、リスク要因がなくなった訳ではありません。

今後の動向を注意して見ておくことが大切ですね。

(ライター:FP1級技能士・CFP)


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